井戸

加藤典洋さんの「村上春樹の短編を英語で読む1979~2011 上」を、indigo la endの「藍楽無声」を聴きながら読んでいます。

加藤さんは、冒頭、村上春樹ねじまき鳥クロニクル」の解説で、井戸の存在を繰り返し指摘。

ちょっと、変になりそう。

「井戸」は、一貫して村上氏の作品に現れ続けているらしく、ここから始まるこの著作に、心して読まなくちゃ、という気構えが生まれる。ちょっと、誰かに電話して、コメントしてもらいたいぐらい。

私の家族は、田舎に残してきた土地に、残ったものは井戸だけでした。そして、今、住んでいる家の近くにも、井戸が有り、憩いの場所になっています。

加藤さんは2019年にお亡くなりになってます。

そのことを知ったのは、詩の先生が、去年の講義の時、おっしゃっていたから。先生は、太宰文学賞の時にお会いになる加藤さんを偲ばれてました。

きょう、何となく寄った本屋さんでこの本を買ったのは、詩の先生の落胆した様子を思い出したからです。

大切に読ませていただきます。

さあて、思いもかけない展開になりそうで、怖いです。

村上さんの作品は、先月「猫を棄てる」を読んだばかりです。

あまり熱心な村上ファンではなく、でも、彼の訳した北欧小説とか

読んでます。

どちらかというと、私は、Kazuo Ishiguroファンでした。この20年。

でも、どこからでも、一本の道に繋がっていくような体験が多いです。最近。

翻訳家の柴田元幸さんが訳されたレベッカ・ブラウンの「体の贈り物」という小説が大好きで、20年生業にしていた私塾でも、生徒たちに薦めていました。生徒の中から、福祉や医療の道に進んだ子たちが出たのも、嬉しかったです。

私は、若い頃、医療畑に就職しながら、自らの実力不足で、撤退した人間なので。

「MONKEY」のイベントで、初めて柴田さんにお会いした時に、そのことをお伝えしました。その時、また、村上春樹さんを感じ、今、ググると、柴田さんがカズオイシグロにもインタビューした著作を知りました。

「ナイン・インタビューズ 柴田元幸と9人の作家たち」2004年

いつぞやどこかで、お見受けしたかもしれない御本です。

こういうのを、沼っていうのかもしれないけれど、とりあえず、

ここでは、深い井戸にはまるってことで、許してください。

ちなみに、うちの主人は、小さい時に屋敷の中にあるまさしくその井戸に落ちて、生還した人です。

おあとがよろしいようで。